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中小企業での人事評価の「甘辛調整」の前に必ず知っておくべきこと
中小企業では日常的に経営者から社員の顔が見える環境にあることが多いことから、人事評価のプロセスにおいても「中小企業ならではのポイント」があります。本日は、期末の評価結果の最終調整でおこなわれる「甘辛調整」について留意ポイントをご紹介します。
目次
- 甘辛調整(あまからちょうせい)とは
- 調整が必要な理由
- よくある甘辛調整は中小企業には必ずしも適切ではない
- 中小企業での甘辛調整のポイント
- 甘辛調整で生まれる良い効果
1.甘辛調整(あまからちょうせい)とは
評価者間で評価基準への認識をそろえ、評価結果を補正するプロセスのことです(評価の修正ではありません)。評価基準に対する評価者の目線合わせをおこない、評価点や評価ランクを補正します。
2.調整が必要な理由
評価基準というのは曖昧な要素もありますので、評価者、被評価者ともに評価基準に対する認識に違いが生まれます。
評価に対する部下の納得度は仕事へのモチベーションや組織への信頼度に直結しますが、「評価に納得がいかない」という不満はなかなか外からみることができません。放置しておくと「静かな退職」にもつながるため、注意が必要です。
3.よくある甘辛調整は中小企業には必ずしも適切ではない
大企業でみられる一般的な甘辛調整の方法は以下のとおりです。
- 平均点による調整
全体の評価点数の平均を基準として、社員の評価点数を集計し、平均点からの差に応じて調整する方法 - 標準評価者との比較による調整
特定の社員の評価を標準評価として設定し、その評価点数を基準に調整する方法 - 標準偏差による調整
標準偏差(点数がどの程度ばらついているか)を利用して調整する方法 - 正規分布による調整
評価点数によって一定の段階に割り振り、評価者間のバラつきを調整する方法
どの方法も、客観的な計算方法により評価結果のブレを低減することで、公平性を担保することを目的としています。大企業では、社員個々の細かな評価調整が難しいため、ある程度機械的に調整しなければならず、その際には有効な調整方法といえます。
一方で、評価者の評価力を高めるという根本的な課題解決には至りませんし、母数の多くない中小企業では、機械的に調整した結果が実態と乖離してしまい優秀者を適切に評価できない、といったリスクも考えられます。
4.中小企業での甘辛調整のポイント
- 評価者会議の実施
中小企業では、「評価者会議」で甘辛調整をおこなうことを推奨します。評価者会議の参加者は、役員を中心として、各部門長などの評価者をバランスよく設定します。会議では、全社視点に基づく評価の客観性・公平性によって、甘辛調整をおこない、最終評価を確定します。 - 評価結果は一覧で見えるようにする
会議の際には、大きなモニターなどに全社員の評価結果を一覧で表示することがポイントです。各社員の点数、評価ランクを俯瞰して確認し、必要に応じて個別の評価シートを確認しながら、部署ごとの評価基準のズレや、評価の上振れ、下振れなどをタイムリーに解消します。 - 調整理由を明確にする
加減点範囲の設定や、調整理由の補記を必須とするなど、甘辛調整が感覚的におこなわれないようにするための工夫が重要です。これにより、評価結果のフィードバック時に曖昧さが薄まり、また、評価者にとっても次の評価をおこなう際の参考になります。
MIRAICの総合評価画面サンプル
5.甘辛調整で生まれる良い効果
- 評価結果の適正さの向上
評価者会議で、各部の評価基準がすり合わされることで、評価者間の評価基準に対する認識が揃い、評価結果が正しく補正されます。また、このプロセスを続けていくと中長期的に会社全体の評価基準が整えられます。 - マネジメント力の向上
調整のためには普段から部下の仕事ぶりを見ていなければなりませんし、属人的になりがちな評価に他の方の目が入ることで、結果として評価者のマネジメント力・評価力が向上し、評価に対する社員の納得度やモチベーションが高まります。
みらいコンサルティンググループでは、クラウド人事システムMIRAICの導入とあわせた評価制度の構築、甘辛調整の仕組み化や、評価者会議の運用支援も承っています。こういった課題にお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。