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【Q&A】1on1では部下に指導をしてはいけないのか


上司と部下が定期的に行う対話「1on1ミーティング」。リクルートが2022年に調査した「1on1ミーティングの導入」に関する調査では、従業員規模3,000名以上の企業では75.7%、700~2,999名企業では69.9%、100~699名企業では57.7%、全体では7割近くの企業が1on1ミーティングを施策として導入しているという結果になりました。

(参考URL:https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000372/


しかし、実際に上司の立場で1on1ミーティングをおこなうと、様々な疑問や悩みが生じるものです。今回は、その中でも迷う方が多い「1on1で部下に指導をしてはいけないのか」という疑問にお答えします。

 


1.1on1で部下に指導をする場合は、正しい手順で


上司の中には「1on1ミーティングで、部下に指導してはいけない(またはしづらい)」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。結論から申し上げると、1on1ミーティングで部下に指導をしてもかまいません。ただし、指導(フィードバック)の「正しい手順」があります。


2.指導とは、行動を変えてもらうためのフィードバック


そもそも、指導の目的は、「期待と外れている行動を修正してもらう」ことです。部下が会社の期待とは違う方向に進んでいるにも関わらず放置してしまっては、部下のためにもなりません。

指導とは、「指摘をして終わり」ではなく、「指摘から対話が始まり、確認・修正と繋がるすり合わせ」のフィードバックのプロセス全体を含みます。指導というと「ネガティブなフィードバック」と思われがちですが、本来は「行動を変えてもらうためのポジティブなフィードバック」なのです。

では、指導(フィードバック)の手順を、詳しくみていきましょう。


2-1.事実のすり合わせ


「嫌われてもいいから厳しいことを伝えないといけない」と思い、相手の感情に訴えても、フィードバックされた本人が腹落ちしなければ行動は変わりません。まずは、事実のすり合わせをします。その際、以下の点を意識しましょう。


①指摘する

修正してもらいたい行動について、「具体的事実」をもとに伝えましょう。

例:具体的事実のみ

「〇さん、この前遅刻したよね」


そこに、「Iメッセージ」をプラスすると、こちらの想いも伝わり、相手も受け取りやすくなります。

例:具体的事実+Iメッセージ

「〇さん、この前遅刻したけど、(私は)最近顔色がよくないと思うし、心配しているんだよね」


②相手の反応を見る

上司としては責める意図はなくても、指摘される側は身構えてしまうものです。ときには相手が感情的になってしまうこともあるかもしれません。だからこそ、事前に相手のネガティブな反応も想定しておきましょう。こちらが心の準備をすることで、余裕をもって相手の表情を見ながら、話を聞くことができます。


③相手の事実を確認する

こちらの認識だけでなく、相手が認識している事実や、それについてどう考えているかをすり合わせましょう。その際大切なのは、相手のことを十分に理解しようとする姿勢です。部下に「共感してもらえない」「それ以上話してもムダだ」と思われてしまうと、それ以上話をしてくれなくなり、こちらの話も受け入れてもらえなくなります。


2-2.意味のすり合わせ


さらに、視野を広げてもらうために、指摘した事実に関して影響を受ける人たちへの「意味」を確認することも効果的です。

◇事実と意味の確認

その事実に関わる人たちの立場から、出来事にはどのような意味があるのかを確認します。関わる人たちとは、「会社(組織)」「自分」「相手」「その他の関係者」です。当事者だと気づかなかったことも、相手の立場を想像して物事を見ることで、改めて気づくこともあります。

例えば、部下視点からだと、「丸投げされた」と思っていたことも、上司視点で考えると「期待を込めて一人でやるように指示をされたのでは?」と上司の期待に気づくことがあります。


2-3.期待のすり合わせ


事実と意味のすり合わせで部下の考えが理解できたら、それを踏まえて期待をすり合わせます。


①期待を伝える

期待をされると人は応えたくなるものです。期待する具体的な行動と「Iメッセージ」を意識して、期待を伝えましょう。


②伝えた内容確認と気持ちの確認

伝えた内容について、改めて「意図が伝わっているか」「腹落ちしているか」を確認することも大切です。ここが合意できないと、行動は変わりません。その際、期待に対し相手がどう思ったかも確認するとよいでしょう。


2-4.行動のすり合わせ


最後に、行動のすり合わせをします。


①具体的行動のイメージ

自分自身で「何をいつまでにするか」決めて、行動してもらうことが重要です。実際のアクションベースで理解してもらえないと、実行確率が下がります。さらに、ここで上司から「強制された」と感じてしまうと、行動に結びつきません。


②支援の申し出

新しい行動にチャレンジするときに必要なのは、見守り、応援してくれる人の存在です。上司から「気にかけてもらえている」「支援してもらえている」と感じると、部下は心強く感じます。支援の申し出をして、できることを探しましょう。



3.まとめ


以上、今回はよくある疑問から、1on1で部下に指導をするときの正しい手順についてご紹介いたしました。

そもそも指導とは「行動を変えてもらうためのポジティブなフィードバック」であり、それには、「事実」「意味」「期待」「行動」のすり合わせが効果的です。すり合わせをすることで、部下に「なぜ自分はこの行動をしたのだろうか」と内省してもらう。内省をすることで、自分自身の思考や思い込みについて考えてもらう。このような内省を繰り返すことで、部下が自ら考え、行動できる自律型人材へと成長していきます。そして、このプロセスは、部下だけでなく、上司側にも気づきや成長をもたらします。

ぜひ、1on1ミーティングで部下へのフィードバックをしてみましょう。


1on1ミーティングの面談記録などは、クラウドシステムを活用して管理することもできます。クラウドシステムを活用することで、履歴確認のためにいちいちファイルを開く、といった手間がなくなります。1on1ミーティング導入のコンサルティングや、上司向け・部下向けのスキル研修も実施していますので、ぜひお気軽にご相談ください。


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