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世代間ギャップを乗り越えるための1on1

上司と部下が定期的に行う対話「1on1ミーティング」。
導入する企業も増えている中で、若手社員(20代)の親世代にあたる上司(40~50代)から「最近の若手社員は何を考えているかわからない」「部下とどう接していいかわからない」「良かれと思ってしたことが全く部下に響いていない」など、若手との対話に関するご相談が増えてきたように感じます。
今回は、若手社員との対話ギャップの要因とコミュニケーションを取るうえでのポイントについてご紹介します。
若手社員との対話ギャップの要因
まず、若手社員との対話ギャップが生まれる要因の一つに、育ってきた環境の違いによる価値観の違いがあります。ここでは、若手社員の育ってきた環境・価値観について少し整理しておきたいと思います。
自分に合うものを選ぶ
若手社員は、モノや選択肢があふれている環境で育ちました。そのため、日常的に情報を自分で見極め、取捨選択することが求められます。自分に合わない・必要のないものには時間をかけない傾向があります。
また、不況の時代に生まれたため、社会に過度な期待をせず、自分がどうしたいか・どうするべきかを考える傾向があります。
一方、上司世代は「置かれた場所で咲きなさい」という考え方が求められてきました。このため、価値観に違いが生まれています。
行動目的・意義を理解する
若手社員は、選択肢があふれる環境で育ったため、まず「なぜこの選択肢を取るのか」といった行動目的を考え、納得してから行動する傾向にあります。
一方、上司世代は選択肢が限られていたため、「とりあえずやってみよう」という精神で行動しながら選択をしていく傾向があります。
自分らしさを受け入れ、認めてほしい若手社員は、ブランド欲求よりも自分らしさを重視します。SNSの発達により承認欲求も高く、形式的な扱いを嫌い、一人として扱ってほしいと感じる傾向にあります。
対話ギャップを埋めるためのポイント
価値観には育ってきた環境や時代背景が影響しているため、年齢の違いによる価値観の違いは、あって当然です。
しかし、お互いに相手に歩み寄らないと、いつまでも溝は埋まりません。
否定的な意味で、「今の若い子は…」「自分が同じ年齢の頃は…」などとひとくくりにされると、若手社員は敏感にネガティブに感じ取ってしまいます。
その結果、部下は「この上司はわかってくれない」「ジェネレーションギャップだ」と感じ、溝が一気に深まってしまいます。
まずは「当たり前」が人それぞれ異なることを認識し、受け入れましょう。価値観に良し悪しはなく、育ってきた時代や環境が異なるため当たり前が違うのです。
「この世代/この人はこうだよね」と決めつけず、「どうしてそう思ったの?」「もっと教えてほしい」と相手に興味を持ち、知ろうとする姿勢が大事です。
1on1ミーティングで実践できるポイント
相手を知るために対話をする手段として、1on1ミーティングが有効です。
ここでは、1on1ミーティングで若手社員と対話する際にすぐ実践できるポイントをご紹介します。
1on1の目的を一緒に設定する
1on1ミーティングの目的を上司と部下で共有しましょう。
目的を定めずに実施すると、部下に「時間だけが過ぎていった」「意味のない雑談で終わってしまった」と感じさせてしまいます。また、上司が一方的にテーマを決めると、部下が受け身になり、話したいことが話せない可能性があります。
大事なのは、テンプレート通りの1on1ミーティングにすることではなく、部下と対等な目線で部下の話したいこと・解決したいことについて話せることです。最初は、「プライベートの悩みを伝えて心のストレスを軽減する」などでも構いません。
今回の1on1ミーティングで何を得たいのか、どんな状態をつくりたいのかを二人でイメージして臨みましょう。結果として目的が達成できなかったとしても、「今回はまだ解決の途中で終わってしまった」と認識するだけで次回に活かせます。
自分がスピーカーにならないようにする(ファシリテーター役に回る)
1on1は、部下が主役の場です。上司として「こうすればいいのに」という答えがあるかもしれませんが、それが部下にとっての答えとは限りません。答えが思いついても、本人から本人なりの答えが出るよう、聞き出せる質問をしてみましょう。
たとえば、「どうしてそう思ったの?」「何が要因/原因だったと思う?」など、5W2H(いつ・どこで・何を・なぜ・どのように)を活用して相手の回答を狭めないオープンクエスチョンを活用する、といったことです。
事実を認め、そのまま伝える
部下は、最初は上司にネガティブなことを言ってはいけない、欠点を知られたくないと思い、本音を言いづらい環境にあるかもしれません。そのため、まずはそういった話をできる場づくりが重要です。
最初は他愛もない話やプライベートな話から入ってもいいでしょう。
相手に現れている変化や成長を言語化してそのまま客観的に伝えてあげましょう。
そうすることで、自分の存在が許されている、承認されていると感じ、少しずつ心を開いてくれるはずです。
そのうえで、「何が原因で起こっていると思う?」「どこでつまづいてそう?」など相手のことを知るために相手の言葉で回答してもらえるような質問を投げかけ、部下の話を聞き出しながら考えさせると、話したいことについて話せるかもしれません。
まとめ
最初から1on1ミーティングを完璧に実施することは難しいものです。
まずはこの記事でお伝えしたポイントを意識しながら、二人で1on1ミーティングをブラッシュアップしていきましょう。
上司として模範である必要はなく、対等な立場で部下の意見を受け止め、その気持ちになった理由など根本の関心を聴きだしてみましょう。
すると、次第に部下が本音を言ってくれる関係性が築けるはずです。
MIRAICは1on1ミーティングの分析や1on1記録など、1on1ミーティング導入をサポートする機能があります。また、1on1ミーティング導入コンサルティングや、上司向けのスキル研修を実施していますので、ぜひお気軽にご相談ください。