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人事評価
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パート社員の人事評価のポイント・具体例



 これまで人事評価制度をはじめとした人事制度は正社員が主な対象となっており、パート社員やアルバイトなどの非正規社員には人事制度がないケースが一般的でしたが、最近は、人手不足などもあり、パート社員を積極的に採用してリーダーや店長に登用するなど、パート社員をより戦力化することの重要性が高まっています。


 そして、パート社員のやる気を引き出すために、人事評価制度を導入するケースも増えていますが、正社員とは働き方も仕事内容も異なるパート社員には正社員と異なる仕組みが必要です。



 今回はパート社員の人事評価の設計方法や運用のポイントなどについて説明します。




1.パート社員の人事評価の必要性



 パート社員の人事評価が必要性について、下記の2点があるのではないでしょうか。


 ① パート社員のやる気を引き出す

 ② 同一労働同一賃金




① パート社員のやる気を引き出す

 

 人事評価制度の目的には、評価結果を金銭的報酬(給与・賞与)に反映する目的がありますが、それ以外にも”社員のこれまでの成長を認め、さらなる成長に活かす”といった、
より非金銭的報酬(感情)に焦点をあてた目的もあります。

どうしてもパート社員は正社員の補助的業務という意識が強くなる傾向にありますが、例えば、日々の働きぶりを上司(=評価者)がしっかり把握し、その成長や組織における貢献を人事評価を通じて認めることで、パート社員の承認欲求も満たされ、さらに成長・貢献意欲が高まることも期待できます。




② 同一労働同一賃金


 パートタイム・有期雇用労働法により、正社員と非正規社員(パート社員など)との不合理な処遇格差等が禁止される、いわゆる“同一賃金同一労働”が義務付けられるようになりました。具体的には、正社員と非正規社員の業務内容や責任度合が同じであれば、給与や手当、賞与なども同じように支給されるべきということで、会社としては正社員と非正規社員の業務内容や責任度合いの違いがある場合、それらを明確にする必要があります。



人事評価の評価項目を正社員と非正規社員ごとに分けて設計することで、仕事内容等の違いが明確にすることができ、同一労働同一賃金に対応することができます。


 



2.パート社員の人事評価のポイント



 正社員の人事評価制度は精緻化されていることも多いかと思いますが、パート社員の人事評価制度は運用のしやすさやパート社員の理解のしやすさを重視してシンプルな仕組みとすることをおすすめします。ポイントは下記の2点です。


 ① 目標管理はおこなわない

 ② 評価フローをシンプルに




①目標管理は行わない


 正社員に多く導入されている目標管理制度は、社員個々で目標を設定し、それを上司が承認する必要がありますが、パート社員が個別に目標を設定することはハードルが高く、かつ、上司が承認するプロセスが煩雑となるため評価制度の種類のうち、目標管理制度の運用は難しいと考えます。




② 評価フローをシンプルに


 正社員の人事評価には1次・2次評価→評価者会議など複数の目線で最終評価を決定していますが、人数の多いパート社員では、このようなフローがスケジュールどおりに運用できない原因となることから、例えば、1次評価・2次評価のみで評価を決定し、昇給などの人件費に関わる部分を人事部門で調整することが現実的ではないでしょうか。

 上記の他にも評価項目の数を絞ったり、自己評価は実施しないといったような仕組みとされていることが多いように思います。


パート社員は6ヶ月単位(または3ヶ月単位)で評価することも多く、煩雑な仕組みとなると、評価シートがスケジュールどおりに集まらない、評価者がじっくり評価できないといった弊害もありますので、シンプルで運用しやすい仕組みとすることをお勧めします。


ただし、パート社員の成長や納得感を高めるためには、人事評価の結果を本人にフィードバックすることは欠かせませんので、そこは手間をかけてしっかり対応することが重要です。




3.評価項目例



 正社員の評価項目としては、企画・提案・改善などの業務・サービスの付加価値を高めることを前提とした評価項目を設定しますが、パート社員には
”着実に業務に従事する”、”ミスなく業務を遂行する”といったこと基本的なことを評価項目に設定することが多くなります。具体的な評価項目の例は下記を参照ください。


ちなみに、短時間勤務であるパート社員の場合は、土日シフトへの対応などの、”勤務シフトへの貢献”を加点評価するようなケースもあります。



パート社員の評価項目例


項目内容
業務知識・スキル担当業務に必要な知識・スキルを有しており、期待する業務品質を提供することができる
確実性担当業務について不明点は事前に確認し、期限内に性格・丁寧にミスなく業務を遂行することができる
報連相不明点や問題発生時など、上位者にタイムリーに報告・連絡・相談しながら業務を進めることができる
理解力分からないことは上位者に質問・確認し、着実に理解し、今後の業務に活かしている
協調性組織の一員として、周囲とのコミュニケーションを心掛け、円滑な業務遂行に貢献している
ルール順守決められたルール・マニュアルを守り、誠実で信頼される業務を遂行している
マナー当社に相応しい身だしなみ・言葉遣い・挨拶が身についており、基本的な接客などの対応ができている


 パート社員の人数が多い企業においては、人事評価の記入・回収・集計などに多くの労力を要することがあります。また、上記内容以外の論点も個別にあるのではないでしょうか。


パート社員のやる気や成長を引き出す人事評価制度を適切に運用するためにも、人事評価システムの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。



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