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人事評価
中小企業も注目すべき人的資本経営における人事評価制度の重要性
最近話題となっている「人的資本経営」ですが、その言葉を聞いたことがあっても具体的にどのようなことを指すのか正直よくわからないといった方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、人的資本経営と人事評価制度、これらが中小企業にもたらす効果についてお話ししたいと思います。
人的資本経営とは『人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方』のことを言います。つまり、企業活動の中で「ヒト」に注目し、社員の能力開発やモチベーションを高め生産性向上を図るために「ヒト」に対して投資を行うことです。そのためには社員を「コスト」として捉え、どのようにして人件費を減らすかを考えるのではなく、社員や社員がもつ知識や経験も含めて「資本」として捉え、社員がその知識や経験、能力を活かして会社に成果をもたらしてくれるという考え方にシフトする必要があります。
では、具体的に人的資本経営とはどういった経営なのでしょうか。中小企業の経営者や人事責任者にまず、おすすめしたいのが人事制度、特に人事評価制度の導入です。
人事評価制度の目的は大きく3つあります。
①社員の処遇決定の根拠とする
②社員を育成する
③社員に会社の期待を伝える
これらの目的のうち、②の「社員を育成する」ことと、③の「社員に会社の期待を伝える」ことは人的資本経営につながっていきます。
2022年度版中小企業白書によれば、経営者が積極的に社員の能力開発に取り組んでいる場合、社員の仕事に対する意欲が高く、さらに能力開発に取り組んでいる会社は会社が求める人材像や社員の目指す姿を公表している割合が高くなっています。明文化された能力開発計画や方針があると答えた企業では、ないと答えた企業よりも売上高が伸びているという結果も出ています。
つまり、人事評価制度を導入し、会社が求める人材像や社員の目指す姿を明示するとともに育成に力を入れることで、社員の仕事に対する意欲を高め、結果として売上が伸びる可能性が高いということになるのです。
人事評価制度と人的資本経営の関係についてお話ししてきましたが、人事評価制度もただ導入すればよいということではなく、導入後には制度のメンテナンスが必要です。
導入したあと、何年も制度の見直しを行っておらず評価を行う項目と業務で必要な能力や発揮してほしい行動でズレが生じている、会社が求める人材像が変わってきているのに明文化されている内容が変わっていないなどはよくある話です。
これからの時代、会社の成長に必要なのは、能力開発方針や求める人材像を示すだけではなく、その方針や人材像に沿った人事評価制度を構築し、運用することです。
株式会社みらいの人事では、人事評価システムだけではなく、人事評価制度の設計や改定のご支援も行っています。「人的資本経営」を進める第一歩として、求める人材像の明示や人事評価制度の構築、見直しを検討されてはいかがでしょうか。