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人事評価
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中小企業が評価制度をうまく運用できない理由、大企業との違い

中小企業が人事評価制度を導入・検討される際には、公表されている大企業の事例を参考にされるケースがあります。しかし、大企業を参考にした結果、制度がうまく機能していない企業も見受けられるため、今回は大企業と中小企業における違いを踏まえながら、中小企業の人事評価制度の運用のポイントをご紹介します。

 

1.大企業と中小企業の人事評価制度の運用上の違い
人事評価制度の運用に関連した大企業と中小企業の主な違いは下表のとおりです。

人事部の有無は、制度の浸透・定着のための説明や研修を十分に検討・実施できるかどうかに関わります。大企業は人材が潤沢であることから業務や役割を分業し効率化している一方で、中小企業は一人が多岐にわたって業務をこなす必要があり、人事評価業務に集中できない状態が続いているケースが散見されます。
この違いによって、大企業は、多少複雑な仕組みでも人海戦術で運用可能な一方で、中小企業は通常業務も忙しく、運用の負担を人海戦術で解消することができず、「人事評価=負担」という考えに陥ってしまいます。
また、昇給や賞与への反映についても、大企業は期ごとに、予算を組んでいるケースが多く、直近の業績の変化による処遇の変動が起きにくい一方で、中小企業は業績の変動がダイレクトに処遇に反映されるケースも少なくありません。
人事評価制度がいかに機能しても、社員の処遇が下がった場合などはフォローが必要で、中小企業では特に十分な説明が必要と考えます。
評価の決定者についても違いがあります。中小企業での人事評価は経営者自身が評価者であることがよくあります。経営者の属人的な評価からの脱却、すなわち、組織力の向上を実現するために人事評価制度を導入する、といったケースでは、制度導入後、経営者が人事評価に関与したくなる気持ちを抑え、現場の長に任せることがカギになります。
大企業を参考にした人事評価制度の設計・運用の際には、以上のような点に工夫が必要となります。

 

2.人事評価制度の設計・運用のポイント
人事評価制度の設計・運用のポイントは大きく3つあります。①制度導入・運用の目的の周知徹底 ②シンプルでわかりやすい制度構築 ③徹底的な効率化、です。

 

①制度導入・運用の目的の周知徹底
なぜ制度を導入・運用するかを現場が理解しなければ、現場はやらされ感に陥り、形骸化します。コンサルタントを活用して制度を導入した場合でも、経営者が自らの言葉で社員に目的を伝えていただくことは必須と考えます。

 

②シンプルでわかりやすい制度構築
理解しやすい制度構築を重要視することをお勧めします。理想を追求した結果、評価項目や評価の点数算出方法等がわかりにくくなるケースも見受けられますが、企業を改善するために導入した制度であるにもかかわらず、評価者が被評価者に説明できないこともあり、被評価者の不満につながってしまう事態は本末転倒です。

 

③徹底的な効率化
人海戦術を選択することができない中小企業は、通常業務の効率化や人事評価の運用効率化をおこない、人事評価・フィードバックなど、被評価者とのコミュニケーションの時間を確保する必要があります。
通常業務の効率化のためのシステムツールは各社の基幹システムとの兼ね合いがあり、早期導入が難しいケースもある一方で、人事評価の業務負担を軽減するためのシステムツールは安価な上、導入しやすいと思料します。
まずは人事評価をシステムツール活用によって効果的に運用し、社員の行動や業務改善を促す中で業務効率化を加速させることも一つの手段ではないでしょうか。

 

ITを活用した業務効率化は、限りある時間をより高付加価値の業務に注力することを目指すものです。高付加価値の業務には、人事評価を含めた、上司と部下の会話によって信頼関係を深めること、振り返りの時間を設けることで社員の成長を促すことも含まれていることを忘れないでください。

 

 

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