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人事評価
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目標管理制度の失敗例と成功のポイント

 

 目標管理制度は、これまで大企業を中心に導入されてきましたが、事業環境の変化スピードが早まったことや、自ら考え行動する“自律型社員”が求められることなどから、中小企業においても導入が進んでいます。
 一方で、社員個々が目標を設定する難しさもあって、運用面においてはまだまだ課題も多く、形骸化しているというケースもあります。

 そこで、今回は失敗事例を中心に中小企業における目標管理制度の運用のポイントをご紹介します。

ケース1.数値の目標ばかりに執着する

 

 目標設定にあたって「個人目標=数値目標」を前提としている会社もあります。明確な数値目標を持った営業職であれば、問題ありませんが、間接部門や研究開発部門などではすべての目標を数値化することは難しいのではないでしょうか。

 過去の事例では、数値目標を求められる事務職の多くが「残業時間を〇時間削減する」といった目標を設定するケースもありました。本来は、残業時間の削減以外に、“取り組むべき目標”が他にあったはずですが、“数値目標”という制約上、他の目標が設定できなかったようです。
事務職が、業務の効率化や平準化に関する役割を担っているとすれば、「〇〇業務を改善し、月次資料を毎月10日までに提出する(これまでは15日提出)」といった目標や「▲▲業務を平準化し、他メンバーでも業務処理できる体制とする」などの目標設定があります。その際、数値目標でないため、目標を達成している・していないが不明確になる懸念があり、解決のポイントとしては、「達成した基準(=ゴール)を明確にすること」とすることです。

例えば、「▲▲業務を平準化し、他メンバーでも業務処理できる体制とする」という目標においては、①他メンバーとは誰か?、②業務処理とはどこまで処理することか?、③いつまでに体制を整えるのか? などを具体化します。
特に②については、評価者・被評価者間でギャップが生じやすいことから、評価者が処理できる内容・レベルを確認・判断することも必要です。


ポイント

①数値目標にこだわることなく、被評価者の業務内容にあわせた目標を設定する
②「数値以外の目標」の場合、目標の達成基準が不明確になりがち。評価者・被評価者間で“目標達成とはどのレベルなのか?”を事前確認。



ケース2:評価者が曖昧に目標を承認してしまう

 目標設定は、被評価者が立て、評価者は被評価者と行う期初面談を通じて承認することが一般的です。
この期初面談において、評価者が適切に目標を確認せずに“すぐに達成できる目標”や“評価者の期待と異なる目標”を安易に承認してしまうケースがあります。


 その結果、期末に実施する人事評価において、被評価者自身の“達成した”という自己評価に対し、評価者からみると“達成していない”という評価ギャップが生じてしまうことがあります。
期初時点で評価者が曖昧なまま目標を承認したことで、期末の評価時に齟齬が生じる結果となり、被評価者としても不満が残る評価となってしまいます。

 改善策としては、期初面談をしっかりと実施し、被評価者が提出した目標を必要に応じて修正し、お互いに納得できる目標の内容・レベルにすることが考えられます。
評価者も多忙かと思いますが、人事評価は被評価者の成長だけでなく信頼関係の構築にもつながりますので、しっかり実施することが重要です。


ポイント

期初の目標設定が重要!
評価者は被評価者としっかり話し合ったうえで、必要に応じて修正させるなど相互に納得できる目標を設定すること。



 目標管理制度は社員ごとに目標の内容や難易度が異なることから、完全に公平な運用は難しい面もありますが、被評価者とのコミュニケーションや柔軟な運用も意識しながら、自社にあった目標管理制度を目指してみてはいかがでしょうか。

また、目標管理制度の運用には、評価者・被評価者それぞれが目標の内容やその進捗状況を把握・共有していることが重要です。人事評価システムを活用すれば、目標や進捗状況などのデータをタイムリーに記録・閲覧できますので、目標管理者の運用に課題のある会社は、是非ご検討ください。

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