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人事評価コメントの書き方・具体例
人事評価シートのフォーマットは会社によってさまざまですが、一般的には、個人ごとに設定する目標の記載欄、各評価項目と評価点数などの記載欄や合計点数の計算欄、評価者・被評価者のコメント欄、などが盛り込まれていることが多いのではないでしょうか。
このコメント欄は基本的には評価者・被評価者が自由に記入できることになっていますが、コメント欄をうまく活用することで、評価結果の根拠が明確となったり、被評価者の状況をよく把握できたりと適性な人事評価へつなげることができます。
ただ、現実的には、なんとなく記入されていたり、なかにはコメントが記入されていない評価シートも散見されますので、今回は評価コメントの目的や記入に関するポイントについてあらためて説明します。
1. 評価コメントの目的
評価コメントを活用することで、主に下記の効果が得られます。
① 評価に必要な「事実」を収集する
コメント内容を通して評価に関する事実を集めることができます。例えば、評価者が把握していなかった被評価者の実績や行動などを確認することができ、より客観的な評価が期待できます。
② 被評価者の「想い」を理解する
被評価者が自身の業績・行動等に対して、どのように感じているのかを理解することができます。ただ、「事実」と「想い」は異なりますので、被評価者の誤解や過剰なアピールが含まれている場合は被評価者の想いを受け止めたうえで、フィードバック面談で説明しましょう。
③ 評価の根拠を記録する
評価者がつけた評価点数の根拠を記入することで、なぜ、その評価になったかを具体的に記録することができ、被評価者へのフィードバック面談時の参考となります。
その他にも、1次評価者のコメント内容は2次評価者、さらに2次評価者のコメントは経営層や人事部門が閲覧することになりますので、評価者がどのような根拠・視点で評価したかを理解することができます。
2. 評価コメントのポイント
コメント欄は評価者・被評価者ともにあまり制約なく記入できますが、被評価者にとっては評価者が、評価者にとっては経営層・人事部門がコメント内容を確認することを前提に相手に伝わりやすい内容とすることが重要で、ポイントは3点あります。
① 事実に基づいて記入する
被評価者であれば、評価者にアピールしたくなるので本人の思い込み(解釈)が入る傾向にありますが、人事評価は「事実」に基づいて実施することが原則となります。これは評価者にも同様ですので、まずは評価期間を客観的に振り返ったうえで、事実を中心に記入するようにしましょう。
② 具体的に記入する
コメントは評価を実施する際の有力な情報となりますので、閲覧者がその内容をより深く把握できるよう、できるだけ具体的に記入することが必要です。
例えば、「〇〇を頑張りました」といったコメントの場合、「〇〇に対して、どのような行動・意識を持って取り組んだ結果、いつまでにどのような成果を出したのか?」が不明で、被評価者の解釈と捉えることもできます。5W1Hを意識することが改善するポイントとなりますので、意識してみてください。
③ 日頃の準備
評価者がコメントを記入するにあたり、どのように記入すればいいか迷うことがあり、中にはコメントが空欄というケースもあるようです。
人事評価は期末に実施しますが、評価期間全般が評価対象となりますので、コメントを適切に記入するためにも日頃から被評価者の働きぶり・言動を把握することが重要です。
一方で、評価者も多忙で、こと細かく働きぶり・言動を把握することまで難しいでしょうから、例えば、被評価者から業務の報告を受ける場合や打合せを行う場合に、「どのような意識・行動のもとに業務を行っているか」、または、「被評価者の業績はどのようなプロセスにより生み出されたものなのか」、などを確認するだけでもコメントを記入する際の参考になります。
3. コメントの具体例
評価者・被評価者それぞれのコメントの具体例をご紹介します。
NG例はいずれも曖昧な表現でかつ個人的な解釈が含まれています。OK例はより具体的な内容に見直していますので参考にしてみてください。
① 評価者コメント
NG | OK |
真面目に取り組んでおり、信頼できる人物です。 | 担当する〇〇業務は、期限までに完了しており、さらに、イレギュラーケースが発生した場合は、タイムリーな報連相を行うなど、安心して任せることができている。 |
努力・準備不足により、わずかであるが、売上目標を 達成できていない。 | 主要顧客A社へのB商品の商談において、A社の要望や競業先の情報収集が不足していたことが響き失注したことが目標未達の要因。本人は他商談も並行したことを理由にしているが、スケジュールの見直しや事前の相談があれば準備できており、その点は改善が必要と考える。 |
② 被評価者コメント
NG | OK |
一生懸命に業務に取り組んだので組織に貢献できたと 思います。 | 〇〇課の課題であった顧客・製品情報の集約のデータベース作成について、率先して取り組んだ結果、8月までにデータベースを完成でき、メンバーもアクセスできるようになりました。メンバーの協力も得ながらですが、組織の生産性向上に貢献できたと思います。 |
競業C社が大幅な値引きをしたことが原因で目標が 達成できなかった。 | A社への商談についてC社が想定を超える見積もりであり失注となり、カバーすべく他社への営業活動を専念したが、新人Dさんの指導や採用プロジェクトの参加などで十分な時間が取れず、達成率95%となりました。 |
いかがでしょうか。
人事評価のコメントだけでも大きく変わることがおわかりいただけたでしょうか。
ちなみに、人事評価を実施する際には、より深く被評価者のことを理解するために過去の評価コメントを参考にする場面もありますので、人事評価システムを導入しておくと便利です。
適切な人事評価はもちろん、被評価者を理解し人材マネジメントに活かすためにも、人事評価システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。