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部下指導で悩んでいる管理職へ 改善が必要な部下への伝え方
上司と部下が定期的におこなう対話「1on1ミーティング」は、部下の成長をうながす上で非常に重要な機会です。しかし、部下の行動や意識を部下から話を引き出すなかで、改善しなければならないような内容を聞いた際に、その場で指導すべきか、指導するならどのように伝えるべきか悩まれている上司の方も多いのではないでしょうか。
ビジネスにおける部下指導は部下の行動や態度に対する改善や成長をうながすための重要なコミュニケーション手段です。当コラムでも以前、部下指導をテーマにしたものがありましたが、1on1の中では適切な対応ができたとしても、忙しい日常業務の中で感情に任せて間違った方法で指導してしまうと、かえって部下を萎縮させ、関係性を悪化させてしまう可能性があります。
そこで今回は、1on1ミーティング以外の日常業務において改善が必要な部下に対し、感情をコントロールして適切に伝えるための𠮟り方のポイントについてご紹介します。
①叱ると怒るを区別する
感情をコントロールしようと考える際、どうしても「怒らないようにしなければならない」という考えに至るケースが多いのではないでしょうか。重要なのは自身の言動が「感情的になっているのか」「そうでないか」の違いを理解することです。そのためにまずは自身の言動が「叱っている」のか「怒っている」のか、について下記のとおり区別することが大切です。
叱る | 怒る |
---|---|
部下の行動や態度に対して改善をうながすための建設的なフィードバックを与えること | 感情的になって相手を非難する行為であり、しばしば相手に恐怖や不安を与えるだけで、問題の解決には繋がらない |
叱る際には、冷静な態度を保ち、具体的な事実に基づいて指摘することが求められます。特に「~するべき」と考えている上司の価値観と部下の価値観が異なる事柄ほど、怒りにつながりやすいです。
感情的にならず、部下が理解しやすいように説明し、改善策を提案することが大切です。これにより、部下は自分の行動を見直し、成長する機会を得ることができます。
では、感情的にならずに建設的にフィードバックするにはどうすればよいのでしょうか。次のポイントで触れていきたいと思います。
②まず相手の話に耳を傾け事実を把握する
部下を指導する際に注意しなければならないのは、上司の指摘事項が事実とずれてしまっているケースです。たとえば、部下の「報告書の提出が遅れた」という事象に対して、実は本人の行動の怠慢が原因ではなく、別の上司やお客さまの対応で遅れたという原因であるのにも関わらず、上司として「あなたが怠けているからです」と誤った認識で指導してしまえば、部下はあなたの指導に耳を傾けてくれず根本的な信頼関係の低下につながります。まずは、指導する前に事実を確認し、相手の状況に配慮しつつも、「報告書の提出が遅れたため、業務に支障をきたした」という事実をともに今後の改善方法をフィードバックするのが適切です。
このフィードバックの際は、相手の「人格」でなく「行動」に着目することに注意が必要です。これにより、自分自身のどこが問題だったのか、部下は具体的な問題点を理解しやすくなります。また、相手の表面的な言動に着目する前に、その行動に至る原因が何であるか、部下の話に耳を傾け事実を確認することが重要です。
③改善事項を伝える際は、日頃の感謝と今後の期待をセットで伝える
また、伝える際には単に改善事項を伝えるだけでなく、「部下への感謝と今後どうなって欲しいかという期待」について、上司としての想いを具体的に伝えることが大切です。
誰でも自分にとって耳が痛いことを聞き入れるにはそれなりのストレスがかかります。指導の目的は、相手を貶めたり、モチベーションを下げることではなく、部下が同じ失敗を繰り返さないよう、問題の本質に気づかせ、改善行動につなげることであり、自信を持って改善に取り組めるよう、日頃の感謝や期待を併せて伝えるようにしましょう。
たとえば、「次回は報告書を期限内に提出してください」と伝えたい場合、以下のように伝えてみてはいかがでしょうか。
【日頃の感謝】
「今月新しく入ったメンバーについて気にかけてくれているようでいつも助かっています。」
【認識している事実】
「最近業務がとても忙しいようですが、Aさんの報告書の提出が度々期限を過ぎていることが最近気になっています。」
【改善を期待する理由】
「期限内に提出することは、業務の進捗状況を定期的に把握でき、問題に対して適切に対処できるので、チーム全体の生産性や成果が向上します。」
【今後の期待】
「Aさんにはそういった日々の細かな業務に対しても高い視座を持って取り組むことで、業務に対するあり方が変わり、ひいては周囲のメンバーにもよい影響を与えてくれることを期待しています。」
これにより、部下は自分の行動がどのように影響を与えるかを理解し、積極的に改善に取り組むことができるのではないでしょうか。
今回は改善が必要な部下に対し、感情をコントロールして適切に伝えるための3つのポイントをご紹介しました。最初からうまく感情をコントロールして上手に伝えることは難しいものです。
昨今はハラスメントが注目され、上司と部下間で本音を言い合うことが難しい時代だからこそ、今回ご紹介した3つのポイントを意識しながら、上司・部下間で「言うべきことは言い合える」関係性構築を目指すことがますます重要だと思います。
また、当社では上司の方向けのスキル研修や1on1ミーティング導入のコンサルティングも実施していますので、ぜひお気軽にご相談ください。