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人事評価
中小企業における人事評価制度の設計・運用の4つのポイント
中小企業が人事評価制度を導入する目的は会社ごとに多岐にわたりますが、せっかく人事制度を導入してもうまく運用できず形骸化してしまうケースがあります。
私たちが1000社以上の企業への人事制度設計ご支援を通して感じた、中小企業が人事評価制度の設計・運用で失敗する理由、人事評価制度がうまくいくための4つのポイントをご紹介します。
ポイント① 評価基準の明確化
うまくいかない理由の一つに、会社が評価基準(期待する成果・行動)を社員一人一人に明示できていないことが挙げられます。
会社の目標が各部門、各チーム、各個人に共有され、成果目標として認識されていないと、社員の貢献の方向性が見えず、自己評価と組織としての評価がズレる要因になります。なんとなく業務を頑張ったから評価されるべきだ、というように自己評価ばかりが高くなってしまうといったことはよくある話です。 まずは会社・部署として目標を定め、社員と共有し、その達成のために各人何をするべきかを考える機会をつくることから始めてみてはいかがでしょうか。
ポイント② 運用重視の設計
人事評価制度を設計していると、全職種ごとに評価項目を変えるなど、「なんとかして公平に評価してあげたい」という想いから、複雑な制度に陥りがちです。しかしながら、凝った複雑な制度を運用する段階になって、実際の評価者への負担が大きくなり、業務の繁忙感も相まって、丁寧に評価できず、なおかつ、社員の納得感も高まらない、という悪循環に陥る企業が散見されます。
思い当たる企業の方は、下記の質問を自問自答することをオススメします。
➀人事制度の導入で会社は何を実現したいのか
②この人事制度は➀に応えるものになっているか
③この人事制度は人事部・現場の評価者・被評価者は運用できるか(自社の社員の評価スキルのレベルで運用できるか)
ポイント③ 人事部・評価者・被評価者の負荷の軽減
人事評価の重要性をいくら社員に伝えても、普段の業務が忙しければ忙しいほど、現場は業務負担のひとつとしか認識できないものです。
うまくいっている会社は、人事評価システム等を導入し、「エクセルでの入力・内容の確認と集計、メールでの評価シートの受け渡し」といった、人事評価の運用上、重要度の低い時間の削減に努めています。その代わりに、「被評価者が自身の成長・貢献を振り返り、評価者がそれを聴く」「評価者が被評価者にフィードバックする」など、本質的に価値の高い時間を増やしています。
人事評価システムを選ぶ際のポイントについては、コラム「絶対、失敗しない。中小企業における人事評価システムの選び方」をご覧ください。
ポイント④ 人事評価制度だけで人事のすべての課題は解決できない
多くの人事制度構築に携わる我々としてはお伝えしづらいことですが、人事評価制度が全ての組織課題を解決することはできないと感じています。
例えば、そもそも評価者と被評価者の関係性が悪ければ、被評価者は人事評価の結果に納得しにくいものですので、評価をおこなう前段階として、意図的な対話の場を設けるなど、関係の質の改善を図ることが必要なケースもあります。
ある会社では社員全員と一人一人面談し、本人が取り組むべきと考えていることを傾聴しつつ、会社からの期待も伝えることで、新規企画の提案といった社員の前向きな行動量が増えたという事例もあります。
また、通常業務が忙しすぎるのであれば、業務プロセス自体を見直すことが必要かもしれません。
そういう意味では、人事制度で解決できる課題とできない課題を区別して取り扱うことも重要で、ここを間違うと、せっかくの人事評価制度が無駄になってしまうことにもなり、留意が必要です。
このように中小企業においては、人事評価制度がうまくいくためのポイントがあります。
そもそも、人事評価制度は何のためにあるのか、それは、社員一人一人の行動を進化させ、組織全体としての成果を高めていくことだと思いますので、その本質を見失ことなく、人事評価システムの導入等すぐに実行できるものから取り組んでいただければ幸いです。